電源について
通信機器について
修理保守について
抵抗負荷の場合、定電圧状態(CVモード)で電圧を上げると電流が増えます。
定電流状態(CCモード)で電流を抑制するとそれに応じて電圧も抑制されます。
例えばR=10Ωの負荷抵抗に電源から定電圧モード(CV)でE=20Vに設定すると、オームの法則の 『I=E/R』により、I=は2Aになります。電圧を上げると電流が増えます。
また定電流モード(CC)で定電流値を2Aに設定した場合、R値とI値を固定しているため定電圧値を20V以上に設定しても電圧は20V以上には上がりません。
この状態で定電圧値を20V以上から20V以下に下げるとCCモードがCVモードに移行し、電圧も電流も下がります。
1.電源製品に対する入力電源接続状態と適正な電源電圧入力であるかを確認ください。
2.電源接続等に問題なければ、故障している可能性があります。
該当機種の取扱説明書の「故障時の対応」、または以下の項目に沿って電源製品の動作状況をご確認の上、弊社カスタマーセンターまでご連絡下さい。
逆流防止ダイオードなしでバッテリと接続すると以下のようなことが発生する場合があります。
●バッテリ接続時に電源の内部平滑コンデンサへ瞬間的に大電流が流れ込み端子部などを溶断・損傷する可能性があります。
●電源OFF時など、直流電源装置側へ電流が流れ込みバッテリを徐々に放電します。
長時間接続の場合は完全放電(過放電状態)しバッテリも損傷する場合があります。
逆流防止ダイオードなしでモータやコイルなどの誘導性負荷と接続すると以下のようなことが発生する場合があります。
●電源の出力変化やモータ・コイルなどに物理的変化が加わった場合などに逆起電力やサージ等の高い電圧が発生し、電源やその他を破損する場合があります。
●出力OFF時やモータ類への外部要因により回生電力が発生し、電源装置へ電流が流れ込み、電源装置故障や思わぬ状態になる場合があります。
電源(安定化電源)の良し悪しの指標の一つにラインレギュレーション(Line Regulation:商用電源側からの入力電圧の変動に対する出力安定度で、電源変動率、入力電圧変動率とも表記する)やロードレギュレーション(Load Regulation:出力に接続した負荷の変動に対する出力の安定度で、負荷変動率、出力電圧変動率、出力電流変動率とも表記する)などありますが、せっかく高安定の電源装置を選びながら、その機能を台無しにしている場合があります。
そのひとつがこの機能で、電源装置から出力された高安定の電力を出来るだけ良い状態で負荷装置まで伝える機能です。高砂製作所の殆どの電源装置に標準装備(一部の交流電源、小型の直流電源には装備されていない場合もあります。)されており、背面などの出力端子やその近くなどでショートバーやジャンパー線などで+S,-Sなど刻印されている端子です。出力配線以外にもセンシングの配線が別途必要な為、工場出荷時は封印された状態で出荷されます。そのまま封印された状態で使っているのでしたら大変もったいない機能です。
この機能は、電源装置と負荷をつなぐ線材の電圧降下を補償する機能で、負荷装置までの電圧降下は、使用する主線(リード線、導線、電線、線材とも)に依存します。
通常、電源装置は、リモートセンシングしない(工場出荷時状態)場合は、出力端子の近くでセンシングしていますので出力端子上では、負荷電流変動による出力電圧の変動はごくわずかです。多少の過渡応答はあるものの見た目の電源内部抵抗は、できるだけ理想電源に近くなるように動作する為、見かけ上、実質0Ωになるように動作します。しかし折角高安定化した電源でも、電源装置の出力端子から負荷までの主線の抵抗が大きいと負荷側で見たときにあまり安定化されない劣悪な状態となります。
例えば、電源端子から負荷まで2mで1.25sq(=1.25mm2)の電線で接続した場合に、最大10Aの電流が流れる負荷の場合、導体の導体抵抗は、一般的な銅線の場合、1メートル1sq(=1.25mm2)あたり約17mΩ/mぐらいなので、+側も-側も同じ長さであれば、17mΩ×2m×2で、往復68mΩとなります。
これに10A流れると、電圧降下=電流×抵抗率×ケーブル長さで640mV分負荷端で電圧が低下します。
デジタル回路なら動作不安定の元に、DC/DC,DC/ACコンバータなら供給電力不足により2次側の供給不備、ノイズ値上昇などが発生する場合も、モータ制御ならトルク不足になりかねない事態となります。
リモートセンシング機能を内蔵した電源装置なら、 センシングケーブルを負荷側に(センシングポイントを負荷端に)接続すれば、自動でこの電圧降下した電圧分を設定した電圧に足して出力します。
リモートセンシングを使わない場合
リモートセンシングを利用した場合
リモートセンシング接続例(ZX-Sシリーズの場合)
出力端子から負荷までの配線による電圧降下が問題となる場合、リモートセンシング機能により、 配線の電圧降下を補償することができます。
補償できる電圧は片道あたり1Vまでです。 下図のように配線してください。ZX-Sのセンシングラインの断線による、出力電圧の上昇は10mV以内のため、ローカルセンシング用のローカルセンス・リード(+出力と+S端子及び-出力と-S端子を短絡するショートバー、リード線)やリモートセンシング有効/無効設定のようなものはありませんので気軽に使えるようになっています。
MEMO
●配線は、より合せることで負荷端でのリップル、ノイズを小さくすることができます。
●C1、C2を負荷端の近くに接続することで、ノイズレベルを規格値よりも小さくすることができます。
C1,C2は高周波インピーダンスの小さなものを使い、リード線は極力短く切って接続します。
C1:電解コンデンサ100~1000μF(低インピーダンス品)
C2:フィルムコンデンサ 1~10μF
【危険】
●出力端子に結線するときは、必ずPOWERスイッチを「OFF」にしてから行ってください。
【注意】
●リモートセンシングをおこなった状態で出力ライン・センシングラインをスイッチやコネクタなどで開閉しないでください。故障の原因となります。
● OVP回路は出力端子の電圧を検出していますので、OVPの設定電圧は保護動作させたい電圧に出力配線(往復)の電圧下降分を加えた電圧値としてください。
高砂製作所の代表的な電源のリモートセンシング
適用機種 | 出力 | リモートセンシング | 備考 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
電源種別 | 直流 | 交流 | 補償 | センシング断線 | 切替・設定方式 | ||
ZX-S | ズーム方式 直流電源 |
○ | × | 片側1Vまで | 10mV以内の 出力上昇 |
自動認識 | M3ビス |
HX-S-G | 大容量 スイッチング方式 直流電源 |
○ | × | 片側1Vまで | 10mV以内の 出力上昇 |
自動認識 | M3ビス |
KX-S | ズーム方式 直流電源 |
○ | × | 片側1Vまで | 0.5V以内の 出力上昇 |
ローカルセンス ・リード 架け替え |
M4ビス (KX-210Lのみ AWG18-26) |
HX | 大容量 スイッチング方式 直流電源 |
○ | × | 片側1Vまで | 1.2V以内の 出力上昇 |
ローカルセンス ・リード 架け替え |
センシング線AWG28~16 |
GP | シリーズ レギュレーション (ドロッパー)方式 直流電源 |
○ | × | 2Vまで | <オープン不可> | ローカルセンス ・リード 架け替え |
ビス |
LX-2 (Bタイプのみ) |
スイッチング方式 直流電源 |
○ | × | 片側1Vまで | <オープン不可> | DIP-SWによる 切替 |
D-SUB15 AWG22-28 |
AA/XⅡ | アナライジング 交流電源 <デジタルAVR> |
○ | ○ | 補償:設定電圧の5%以内 断線時、最大で設定電圧の+6% |
画面メニュー又は LAN等からの 遠隔制御による 設定で切替 |
センシング線 0.2~1.5mm2 |
|
RZ-X2 | 電力回生型 ハイブリッド (双方向直流/充放電) 電源 |
○ | × | 片道5Vまで | 10mV以内の 出力上昇 |
自動認識 | センシング線 AWG28~16 |
RZ-X | 電力回生型 双方向直流電源 |
○ | × | 片道5Vまで | 10mV以内の 出力上昇 |
自動認識 | センシング線 AWG28~16 |
RZ-X-100K | 電力回生型 双方向直流電源 |
○ | × | 片道5Vまで | 10mV以内の 出力上昇 |
自動認識 | センシング線 AWG28~16 |
※ 動作中にセンシング線が断線した場合、出力に一時的に過大な電圧がかかる場合がありますのでご注意ねがいます。
出力ライン・センシングラインにスイッチやコネクタを接続し開閉する場合は、必ず電源をOFFにした状態で行ってください。
改良に伴い、製品の仕様、外観形状などおことわりなしに変更することがあります。
線材のおおよその導体抵抗値と推奨する最大電流
▼JIS規格に基づく断面積表記 単位mm2又はSQ (=Square:スケ ) 抜粋表
断面積 | 導体抵抗(20℃) | 推奨最大電流 |
---|---|---|
0.5mm2 (0.5sq) | 約37mΩ/m | |
0.75mm2 (0.75sq) | 約24mΩ/m | |
1.25mm2 (1.25sq) | 約17mΩ/m | 7A |
2mm2 (2sq) | 約9.6mΩ/m | 10A |
3.5mm2 (3.5sq) | 約5.4mΩ/m | 16A |
5.5mm2 (5.5sq) | 約3.5mΩ/m | 22A |
断面積 | 導体抵抗(20℃) | 推奨最大電流 |
---|---|---|
8mm2 (8sq) | 約2.4mΩ/m | 30A |
14mm2 (14sq) | 約1.4mΩ/m | 44A |
22mm2 (22sq) | 約0.85mΩ/m | 65A |
38mm2 (38sq) | 約0.5mΩ/m | 100A |
60mm2 (60sq) | 約0.3mΩ/m | 150A |
100mm2 (100sq) | 約0.2mΩ/m | 220A |
▼米国A.W.G規格(アメリカンワイヤーゲージ) 抜粋表
A.W.G | 断面積 | 導体抵抗(20℃) | 推奨最大電流 |
---|---|---|---|
AWG22 | 0.3256 | 約63mΩ/m | |
AWG20 | 0.5174 | 約40mΩ/m | |
AWG18 | 0.8226 | 約23mΩ/m | |
AWG16 | 1.309 | 約14mΩ/m | 7A |
AWG14 | 2.081 | 約9.0mΩ/m | 10A |
AWG12 | 3.309 | 約5.7mΩ/m | 15A |
AWG10 | 5.262 | 約3.6mΩ/m | 22A |
A.W.G | 断面積 | 導体抵抗(20℃) | 推奨最大電流 |
---|---|---|---|
AWG8 | 8.368 | 約2.2mΩ/m | 32A |
AWG6 | 13.3 | 約1.4mΩ/m | 44A |
AWG4 | 21.15 | 約0.9mΩ/m | 64A |
AWG2 | 33.63 | 約0.56mΩ/m | 90A |
AWG1 | 42.41 | 約0.46mΩ/m | 110A |
AWG2/0 | 67.42 | 約0.28mΩ/m | 150A |
AWG4/0 | 107.2 | 約0.17mΩ/m | 230A |
導体抵抗は、軟銅線などの一般的な線材等で、直流で使用した場合におけるおおよその目安です。撚り、メッキ、線心数などの電線構成により異なります。
詳しくはケーブルメーカの仕様をご確認ください。推奨最大電流は、当社の推奨値でケーブルの最大許容電流値を意味するものではありません。
最大許容電流に近い値で使用しますと、電圧降下が著しいばかりか、電線の発熱による温度上昇で抵抗値の微妙な変化などがあり、電源の安定供給の妨げになりますので、ゆとりを持った電線を選択ねがいます。詳細な許容電流については使用するケーブルの種類、使用温度等で異なります、ケーブルメーカーの仕様をご確認ください。
電源の出力端子から負荷までの主線は、下記グラフを推奨します。リモートセンシング線は、電流が殆ど流れないので比較的細い線を利用する事が出来ますが、機種により背面端子使用により適合線材のサイズを指定しているものもあります。
【負荷電流 対 推奨導体面積 (銅線)】
自動車などのオルタネータ(直流用発電機)などで他励磁式(永久磁石等を使わず初期発電用の励磁電流をバッテリに依存するタイプや制御回路に始動時電源が必要な場合)は、電子負荷と直結しても発電が開始されない場合があります。その場合は外部励磁電流用(初期励磁)に小型の直流電源などをダイオード経由で接続してください。
【設定例】電子負荷 CV値12.6V以上
小型直流電源 CV値は電子負荷CV値より0.5V以上
低い値を設定します。(小型直流電源には逆流防止ダイオード必要)
1)装置のIPアドレスがわからない場合
前面のCONSOLEポートにPCを接続し、ターミナルソフト(例:TeraTermなど)を利用し、本体に接続後、PC側に表示される設定メニュー表示により、初期化コマンドを実行することにより初期化ができます。
なお、本体接続には市販のUSB-232C変換ケーブルとRS232Cインターリンクケーブルが必要です。
2)装置のIPアドレスがわかる場合
LANポートをHUB経由でPCに接続し、ターミナルソフト(例:TeraTermなど)を利用し、本体に接続後、PC側に表示される設定メニュー表示により、初期化コマンドを実行することにより初期化ができます。
なお、本体接続にはPC側と装置側の同一セグメントに設定をしておく必要があります。